バイクの任意保険の宣伝を見ていると、保障内容よりも故障時対応に力を入れているように感じます。
故障時の対応は保険の追加のサービスなのですが、加入者から見ると故障時対応の方がイメージしやすいので、宣伝に力が入るのも無理もないことです。
しかし実際にどの程度の故障まで対応してくれるのでしょうか?
バイクの故障がどこまでカバーされているかを見てみます。
目次
走れる vs 走れない * 事故 vs 自然
保険と故障の関係を考える場合には、「走れる故障」「走れない故障」「事故での故障」「自然の故障」を分けて考える必要があります。
更に事故が原因の故障か、自然発生的な故障かによっても対応が変わります。
加えて、ロードサービスと、車両保険では対応範囲が異なります。
これらを表にするとこのようになります。
故障の原因 | バイクの状態 | ロードサービス | 車両保険 |
---|---|---|---|
事故での故障 | 走れる | × | 〇 |
走れない | 〇 | 〇 | |
自然発生の故障 | 走れる | × | × |
走れない | 〇 | × |
この表に記載されている「走れない」故障とは、「バイクが動かない」の他に、ミラーの破損や、夜間のヘッドライト切れなど、走ると違反になる場合も含まれます。
このように、車両保険を用いるか、ロードサービスを用いるかで対応範囲が変わるのです。
ではロードサービスからもう少し詳しく見てみましょう。
バイクのロードサービスの内容
ロードサービスとは、バイクが故障した時に、簡単な修理の知識と技術のあるサービススタッフが、レッカー車で駆けつけてくれるというものです。
ロードサービスに頼める内容は、どの保険会社でも大きくは変わりません。
異なるのは「無料でどこまで対応してくれるか」であって、「何が出来るか」には差は無いのです。
基本的に対応できるのは
「現地で復旧対応が可能で」
「分解などの作業を伴わない」
「30分程度で解決できる」
事項となっています。
これで対応できない故障は、レッカー車で修理工場に運ぶことになります。
ロードサービスが対応してくれる故障
では、実際にこれらの条件に当てはまるのはどのような故障でしょうか。
多くの保険会社では、次のような故障を対象にしています。
- ガス欠時のガソリン給油
- キー紛失時の解錠(盗難防止機能付は対応不可の可能性あり)
- バッテリー上がり時のジャンピング
- オイル漏れの補充(オイルの種類は選べません)
- エンジン冷却水の補充
- 各種灯火類のバルブ交換(バルブ=電球の選択は出来ません)
- ボルト増し締め
- 落輪引き上げ(タイヤの片輪が道路外に落ちてしまった状態からの復旧。両輪が落ちると落輪引き上げではなく、レッカーでの吊り上げとなるケースが多い)
パンク修理がサービス対象外であることに注意してください。どの会社のロードサービスであっても、パンクは対応してもらえません。バイクに限らず4輪自動車でも同じです。
バイクが走れなくなる原因として、最も多いのがパンクですが、パンクにロードサービスは適用できないのです。
ロードサービスは修理ではなく応急処置
ご覧いただいた通り、ロードサービスの対応はあくまでも応急措置です。
ガソリン、オイル、冷却水はロードサービスの対応で完全復旧できますが、それ以外は「とりあえず修理工場か自宅まで走れる状態にする」に過ぎません。
キー紛失はカギを作成するのではなく、鍵が無くても動くようにしてしまいます。
バッテリーは一回上がってしまったら、再発しやすくなるので、交換が必要です。
バルブは、ロードサービススタッフ持ち合わせのものを取りあえず装着。
落輪すれば、車体のどこかは傷つきますし、運が悪ければ排気パイプが曲がっているかもしれません。
このように、バイクのロードサービスはあくまでも応急措置です。
故障の修理などは別途手配する必要があることを知っておきましょう。
車両保険の内容
次に車両保険を見てみましょう。
ロードサービスは事故や故障が起こった現場で、実際に応急措置を行うのに対して、車両保険は修理などにかかった費用を補償します。
当然ながら、実際に修理を行うことはありません。
また、車両保険が適用できる修理費は、事故によって起こった被害に限定されています。
老朽化などが原因の故障に車両保険は使えません。
どのような事故に対して車両保険が使えるかも、予め決められています。
自損事故などの相手がいない事故を原因とした故障や破損まで補償するケースと、自動車やバイクなどとの衝突事故の場合のみ補償する契約に分けられていて、どちらの契約にするかは、加入者が決めることが出来ます。
しかしバイクの場合には車両保険を提供している会社が少ないために、実際にはあまり選択肢が有りません。
参考記事 : バイクの車両保険 会社別比較
故障への対応は「事故が原因」と「事故以外が原因」で判断する
このように、バイクの故障はその原因が事故であるかどうか、また走行可能であるかどうかで対応が変わります。
簡単にまとめるとこのようになります。
- 事故が原因である場合:ロードサービスでの応急措置+車両保険で修理代の補償
- 事故以外が原因である場合:走行不能ならロードサービスでの応急措置
ロードサービスと車両保険のカバーする範囲は似ているようで異なります。
しっかりと違いを把握したうえで、契約を検討してください。