車検が切れたバイクに乗った場合の罰則は、かなり厳しいものです。
また、単に罰則となるだけでなく、大きなリスクも伴います。
その内容を見てみましょう。
目次
なぜ車検が必要なのか?
車検は正確には「自動車検査登録制度」と言い、その車が「公道を走るための最低限の安全性を備えているか」を確認する為に行われています。
実はバイクが調子よく走るかどうかは関係ありません。
見られるのは「安全性」です。
安全に走る為の基準としては以下の様なことが検査されます。
- ヘッドライト、ウィンカー、ブレーキランプなどが適正に作動しているか?
- ブレーキはきくか?(タイヤの状態も確認します)
- スピードメーターは正確に作動しているか?
- 排気ガスや騒音は適正か?
これらを確認することで、車両が正常に走行し、危険を回避できるかを確認します。
これが車検を義務付けている理由です。
実はエンジンの調子が良いかとか、スムースにスピードが上がるかなどの、ライダーが一番気になる場所は確認されません。
バイク店に車検を依頼すると、バイクの調子が良くなるものだと思われている方が時々いますが、残念ながらそのようなことは有りません。
車検整備とはエンジンなどの整備ではなく、灯火類やブレーキの整備なのです。
車検が切れると
ここまでお読みいただければ想像がつくと思いますが、車検が切れているというのはバイクの調子が良いとか悪いとかではなく、「そのバイクが安全に走れる保証期限が切れた」状態なのです。
ですから「安全が確認出来るまで、公道を走っていはいけません」という扱いになります。
保証が切れてしまい「事故を起こす可能性が有るバイク」となってしまうので、乗ってしまった時の罰則も厳しくなります。
【車検切れの罰則】
違反点数 6点
免停最短30日
6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
車検が切れたバイクで公道で乗ると、違反点数が6点加算となります。これは30~50キロのスピードオーバーと同じ点数です。
前歴がない場合でも30日の免停と、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金となってしまいます。
車検が切れると自賠責保険も切れている
実は車検が切れた時の最大のリスクは、自賠責保険が切れていることにあります。
車検があるバイクの場合、自賠責保険も車検と同時に手配されるため、車検切れは自賠責保険の失効でもあるのです。
自賠責保険が失効した状態でバイクに乗ると次の罰則が与えられます。
【自賠責保険切れの罰則】
違反点数 6点
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
違反点数は車検切れと同じ6点ですが、懲役と罰金はこちらの方が厳しくなります。この罰則は車検切れの罰則に加算されますす。
【車検も自賠責も切れたバイクで公道を走った場合の罰則】
違反点数12点(前歴がない場合)
90日間の免許停止
1年6ヶ月以下の懲役、または80万円以下の罰金
違反点数15点で免許取り消しとなりますので、
12点はかなりまずい状態ですね。
しかし自賠責無しでバイクに乗るほど怖いものは有りませんので、
これ位厳しいのも当然かと思います。
もう一度車検を取るには
車検をもう一度取る方法は通常と変わりません。
陸運局で検査を受けて合格すれば車検証が得られます。
ただし陸運局或いは車検手続きを代行してくれるバイク屋まで、バイクをどうやって持っていくか問題です。
車検切れのバイクは公道では乗れませんので、以下の3つのうちの何れかを行わなければなりません。
- バイク店まで押して行くかトラックなどで運び、車検手続きを頼む
- 陸運局まで押していくかトラックなどで運び、車検手続きをする
- 仮ナンバーを入手し、一時的に走れるようにしたうえで、陸運局で検査を受ける
この中で最も現実的なのは1.ではないかと思います。
バイク店は輸送用の車両を持っていますので、家までバイクを取りに来てもらい、車検手続きまで依頼するのです。
勿論、余計な出費はかかりますが、致し方ないでしょう。
因みにバイクの保険についているロードサービスではこの輸送をカバー出来ません。
出費を抑えたいなら、仮ナンバーを取るのが良いでしょう。
仮ナンバーの手続き
仮ナンバーは陸運局に行くためだけに使えるナンバーです。
それ以外の目的には使えません。
「陸運局に行ける日まで、仮ナンバーで走る続ける」というような使い方は出来ませんので注意してください。
仮ナンバーを得る手続きは自治体によって違います。参考として、千代田区の場合をご紹介します。
①必要書類を準備する
(1) 申請書
(2) 印鑑(法人の場合は代表者印)
(3) 身分を証明するもの(運転免許証など)
(4) 車台番号が確認できるもの(車検証、抹消登録証、完成検査証、通関証明書など)
(5) 自動車損害賠償責任保険証明書または自動車損害賠償責任共済証明書の原本
(6) 手数料 750円
②使用する当日か前日に地域振興部税務課納税促進係にて申請
③使用後にナンバーを返却
車検を切らしてはいけない
車検が切れていることに気付いたら、決して無理に車両に乗ってはいけません。
車検と同時に自賠責も切れているため、万が一無保険で事故を起こした場合には、違反罰金80万円がどうでも良くなるほどの多額賠償を背負うことになります。
車検が切れる日というのは2年前(新車なら3年前)から分かっているのですから、予定表に書き込んでおくなどの対策を忘れずに行っておきましょう。
今は予定日が近くなるとメールで知らせてくれるような便利なアプリも多く出ていますので、少しの工夫さえすれば手続きを忘れることを防止出来ます。
くれぐれもご注意を。