知人からバイクを少しだけ借りるような場合、保険はどのように掛ければよいのでしょうか。
バイクの任意保険にはライダーとバイクの両方が登録されていますので、この組み合わせのどちらか一方でも変わる場合には、保障の範囲に注意が必要です。
目次
知人のバイク保険を使うか、あなたのバイク保険か
バイクの任意保険には、ライダーとバイクの両方が登録されています。
そのため知人からバイクを借りて乗る場合を保険の観点から見ると、次の2パターンが考えられます。
登録されているバイクに、登録されていない人が乗る
登録している人が登録されていないバイクに乗る
借りたバイクで事故を起こした場合には、知人の保険とあなたの保険のどちらを使うかで対応が変わります。
あなたが借りたバイクの事故を、貸してくれた人の保険でカバーするには
先ず知人の保険でカバーする場合です。この場合には「保険に登録されていない人の事故までカバーされるか?」を確認しましょう。
その為にはバイクの持ち主の保険に「運転者限定特約」が付いていないことを確認して下さい。
運転者限定特約は、予め登録されたライダーしか補償しないことを条件に、保険料を安くする特約です。
運転者限定特約で登録されるライダーの範囲は、「本人だけ」「本人と配偶者」「本人とその家族」などがあり、これら以外のライダーが運転している時の事故は補償されないこととなっています。
運転者限定特約が付いていなければ、あなたも補償範囲に含まれます。
一方で年齢条件については、知人や別居の親族は対象とならないことを覚えておきましょう。
たとえば20歳以上補償という年齢条件の保険が掛けられているバイクに、19歳の友人が乗り事故を起こしても保険金は支払われます(運転者限定特約が付いていない場合に限ります)。
確認すべき事項は年齢制限ではなく「運転者限定特約」の有無です。
知人のバイク保険でカバーする時の注意事項
自動車保険やバイク保険には等級と言う考え方があります。
等級は保険金の請求履歴が少ないほど、保険料の割引率が良くなるという仕組みなので、知人の保険から補償を得れば知人の保険等級が下がり、翌年からの保険料の割引率が悪くなります。
しかも元の等級に戻るまでは3年かかるので、3年間は今より高い保険料となるのです。
参考記事 : 等級が下がるとどうなる?
保険等級においては、誰が事故を起こしたのかは関係がありません。保険金の請求が行われることで、等級が下がるのです。
この点は十分に認識しておいた方が良いでしょう。(保険請求をしても等級に影響を与えない場合も有ります。詳しくはこちら。)
借りたバイクの事故を、あなたの保険でカバーするには
この場合にはあなたバイクの保険が、「登録されていないバイクでの事故まで補償するか」を確認しましょう。
あなたバイク保険に「他車運転特約」が付いている場合には、万が一知人のバイクで事故にあっても、保険が適用されます。
知人の保険を使う場合と異なり、等級が下がるとしてもあなたの等級です。
あなたが加入しているバイク保険に「他車運転特約」が付いていない場合には、一時的に付けることも出来ます。
友人のバイクを借りる可能性があるならば一時的に追加して下さい。バイクを借りなくなったらまた外せば良いのです。
尚、他車運転特約は他人のバイクを自分のバイクと見なして補償するため、借りたバイクを壊した場合の扱いが少し特殊です。
詳しくは他車運転特約をご参照ください。
搭乗中のみタイプが付いていると使えない!
保険契約に「搭乗中のみ」という特約が付いている場合にも要注意です。
この特約は補償範囲を保険会社に登録したバイクに乗っている間に限定する代わりに、保険料を安くする特約です。
例えばバイクから降りて休憩中にあった事故は補償されなくなります。
この搭乗中のみ特約が付いていると、他車運転特約が適用されなくなります。
他車運転特約を使いたい場合には、搭乗中のみ特約を外す必要がありますので注意してください。
他車運転特約が使える保険会社、使えない保険会社
他車運転特約は保険会社によって扱いが変わります。
ご参考までに当サイトが調査した結果を掲載します。
ただし保険の約款は常に書き換えられていることを知っておいてください。
同じ保険会社でも加入時期によって補償内容が変わることがあるのです。
以下の結果は参考に留めていただき、必ずあなた自身で加入している保険会社に確認を行ってください。
125cc迄ならファミリーバイク特約が使える
借りるバイクが125ccまでで、あなたかあなたの家族が自動車保険に入っているなら、ファミリーバイク特約が使えるかもしれません。
ファミリーバイク特約は、自動車保険に付けられる特約で、本人とその家族が乗る125cc迄のバイクが補償対象となります。
さらに、ファミリーバイク特約は、本人か家族が乗るならば、そのバイクが誰のものであろうが補償されるという、大変利用価値の高い特約です。
但し、多くの場合補償内容は厚くありません。特に契約内容によっては自分のケガが補償対象外となることが有りますので、十分に注意してください。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
バイク保険の基礎用語 : ファミリーバイク特約とは
あなたがバイク保険に加入していない場合
あなたがバイクの任意保険に加入してなく、ファミリーバイク特約も使えない場合には、知人の保険を使うしかないのでしょうか?
そのような場合には、ドライバー保険を使いましょう。
ドライバー保険は、通常のバイク保険とは違い、バイクを限定せず、ライダーだけを登録する保険です。
そのため、登録されたライダーが乗るバイクは全て補償されます。
バイクに使えるドライバー保険には、三井ダイレクト損保の「eドライバー保険」と損保ジャパン日本興和の「ドライバー保険」があります。
何れの保険も1年間契約ですが、中途解約が可能です。解約時には保険料のうち未経過期間分が返金されます。
残存期間の計算は1か月単位の切り上げで行われるので、最も多くても11か月分の返金とはなりますが、バイクを持っていない方にはメリットが大きい保険です。
ドライバー保険の注意事項
eドライバー保険も、ドライバー保険も、あなたがバイクを持っていると使えません。
また、同居の家族や配偶者が持っているバイクや、たとえ他人のバイクでも、実質的にあなたが持っているバイク(借りっぱなしになっているとか)に乗った場合も保険は効きませんので、注意してください。
自賠責保険は心配無用
任意保険と異なり、自賠責保険は誰が事故を起こしたとしても補償が受けられます。また、等級のような考え方もありません。
自賠責保険の目的は事故の被害者を救済することです。運転者が誰であるかに関わらず、被害者の救済は行うべきと考えられているのです。
但し救済されるのは事故の被害者だけです。自賠責保険でバイクの運転者が救済されることはありません。
バイクの運転者のケガ等に対しては、1円も支払われません。
参考記事 : バイクの任意保険と自賠責保険の違い
「チョイノリ保険」や「1 Day(ワンデー)保険」は使えない
「チョイノリ保険」や「1 Day(ワンデー)保険」などコンビニなどで手軽に入れる保険が増えています。
大変便利な保険なのですが、「チョイノリ保険」も「1 Day(ワンデー)保険」もバイクは補償対象外となっていますので、用いることが出来ません。
「チョイノリ保険」も「1 Day(ワンデー)保険」も、家族や友人の自動車を一時的に借りたり、運転を交代したりする時の保険なのですが、バイクは補償対象に含まれていないのです。
知人とバイクを貸し借りするなら、あなたも任意保険に入る
このように知人からバイクを借りる場合には、あなたも保険に入る必要があります。
知人の保険でカバーしてもらい、万が一事故に遭えば、知人の保険料が翌年から上がります。それを良しとするなら話は別ですが、そのような奇特な方はまず居ないでしょう。
あなたが保険に入る場合には、あなたがバイクを持っているかどうかで判断が変わります。
あなたがバイクを持っているなら、任意保険に加入し他車運転特約を付ける。持っていないならライダー保険に入らなければなりません。
バイク乗りなら分かると思いますが、相当信頼した相手でないと、自分のバイクを貸したりはしません。その知人の気持ちに応えるためにも、万が一への備えは十分に行いましょう。