「同居の親族」については、「同居」と「親族」に分けて考えると分かり易くなります。
一言で言えば、「同じ屋根の下に住んでいる親戚」なのですが、どこまでが同じ屋根なのか? 親戚とはどの範囲までか?などが細かく決まっていますので、それぞれについて解説します。
目次
「同居」とは「同じ屋根の下にいる」ということ
先ずは「同居」と「親族」のうちの「同居」についてです。
同居は「同じ屋根の下に住んでいる」と考えましょう。
例えば2世帯住宅であっても、同じ屋根の下なので同居しているとみなされます。
どこまでが同じ屋根なのか?
少し細かいのですが、屋根が繋がっていても、お互いが行き来するために一回外に出なければならない場合には「同じ屋根の下」とはみなされません。
同じ敷地内に2軒の家が有り、別々に住んでいる場合も、一回外に出ないと行き来できないなら別居です。
2軒の間に渡り廊下が有り、外に出なくても行き来できるなら同居です。
ややこしいですね。
マンションの場合には判断が少し変わります。
同じマンションに住んでいても、部屋番号が違う場合には「同じ屋根の下」ではなく、別居とみなされます。
2軒が屋根付きの廊下で繋がっていても、別居とみなされるのです。
住民票や扶養とは関係が無い
同居は実際に住んでいるかどうかで判断されます。
そのため単身赴任しているお父さんや、寮に入っている子供は「同じ屋根の下」とはならないので、同居とはみなされません。
例え住民票が残っていても、実態として生活の拠点が別の場所にあるなら別居です。
では週に3日は単身赴任先、4日は自宅というような勤務の場合にはどうでしょう。
この場合には「どちらに生活の基盤が有るか」で判断されます。
実際には個々の状況で判断されますが、一番影響を持つのは各々の場所で過ごしている日数でしょう。
週7日のうち4日を過ごす場所が自宅であれば同居とみなされる可能性が高くなります。
また、扶養関係も同居/別居の判断には関係がありません。
扶養家族でなくても、同じ屋根の下であれば同居とみなされます。
親族と親戚は違う
次は「同居」と「親族」のうちの「親族」についてです。
親族という考え方は保険だけでなく、多くの法律に出てきます。
最近話題の相続なども、この親族の範囲が大きな影響を持ちますので、ここで覚えておかれると、別のシーンでも役に立つことが有ると思います。
親族の範囲は細かく説明しだすと完全な法律講義になってしまうので、概念だけ説明します。
正確に説明しようとすると、普通養子の場合は?特別養子の場合は?連れ子はどうか?孫養子はどう扱う?、などを網羅しないといけなくなるので、ご勘弁ください。
法律上の定義では親族は単に「血が繋がっている」とか「結婚した」いう意味ではありません。
親族とは配偶者、6親等内の血族、または3親等内の姻族をいいます。
血族(けつぞく)は「自分側の親戚」のこと、姻族(いんぞく)は「配偶者側の親戚」のことです。
6親等内の血族、または3親等内の姻族の範囲に入らない方は親戚であっても親族には入りません。親戚にも親族に入る人と入らない方がいるのです。
6親等、3親等ってなに?
それでは、親戚の中で親族に入る方は誰でしょう。
先ずは親等(しんとう)について説明します。
親等は「血のつながりの濃さ」を基準とした考え方です。
一番分かり易いのが親子です。
親子は最も血のつながりが濃いので、1親等とされています。
fa-exclamation-circle養子や特別養子などは、血の繋がりが無くても実子と同じように血族に入ります。
また実子と同じように1親等です。
次につながりが濃いのが、1親等と直接つながっている方です。
自分が1親等で繋がっているのが親ですので、その親から見て1親等で繋がっている人が2親等です。
そう、自分から見たらお爺さん、おばあさん、そして兄弟姉妹です。
少し分かり難いのでサザエさんの親戚で見てみましょう
保険契約者がサザエさんとして説明します。
画像は:サザエさん市場 より引用させていただきました。
先ず、サザエさんから見て直接血のつながりが有る「たらちゃん」「波平さん」「フネさん」が1親等です。
そして1親等と直接つながっている「カツオくん」「ワカメちゃん」に加えて図には無いですが波平さんとフネさんの親が2親等になります。
では3親等は?
そうです。2親等から直接つながってる人です。
そして将来誕生するであろう(?)カツオくんやワカメちゃんの子供も3親等になります。
サザエさんの家系図で6親等の血族と3親等の姻族の範囲を見てみましょう。
家系図に血族の親等を赤字で、姻族の親等を青字で書き込んでみました。
因みにマスオさんは「配偶者」ですので姻族とは言いません。
<<クリックで拡大します>>
いかがでしょうか。
「6親等内の血族と3親等内の姻族」の範囲はかなり広く、サザエさん家系図でも6親等の血族は入り切っていません。
同居の親族は変わりやすい
このように「同居」も「親族」も細かく範囲が決められています。
特に注意を要するのは「同居」の考え方です。
何故ならば、その時々の状況により、同居かどうかが変わるからです。
お父さんが単身赴任したら、その日から同居ではありません。
また子供が一人暮らしを終えて、実家に戻ってきたら、その日から同居になります。
このように同居の親族が変わると、保険でカバーされる人が変わるのです。
家族の誰かの生活状態が変わったら、補償の範囲に含まれるかどうかを再確認したほうが良いでしょう。