過失相殺(かしつそうさい)とは、加害者の過失から被害者の責任分を差し引くことを言います。
過失相殺が適用されると、こんな指示が出ます。
この事故は相手の責任で起きたので、損害賠償として2,000万円の支払いを加害者に命じます。
しかし貴方にも責任が無いわけではありません。
あなたにも1割くらいは責任が有るので、2,000万円のうちの1割、200万円は過失相殺として差し引きます。
よって、貴方に支払われる賠償金は1,800万円です。
被害者側の責任とされる部分が加害者の賠償額から差し引かれるので、賠償金額=受取金額とはなりません。
過失相殺の考え方はシンプルなのですが、実際の事故においては思わぬ結果を招く場合が有ります。
特に相手の車が高級外車であるような場合です。
出会い頭の事故で、相手の車とあなたの車が共に破損しました。
示談の結果、責任の8割が相手側にあり、あなたの責任は2割と決まりました。
相手側の車の修理費用が250万円、あなたのバイクの修理費用が50万円かかりました。
このような場合、双方の負担額は、過失相殺の考え方により、修理費の総額の8割が相手、2割があなたとなります。
では各々の負担額を計算してみましょう。
- 事故損害の総額=相手の損害250万円+あなたの損害50万円=300万円
- あなたの負担額=300万円×20%=60万円
- 相手の負担額=300万円×80%=240万円
なんと、相手の方が悪い事故なのに、自分の負担額がバイクの修理費より高くなるのです。
実はこのような事象は交通事故ではよく起こります。
特にバイクの場合には、車より修理費用が安くなり易いので、費用的に不利になる可能性が有ります。
保険を掛ける際にはこの点をよく理解して下さい。
相手への賠償金をカバーする「対人賠償」と「対物賠償」は必ず「無制限」を選んで下さい。
そうすれば自分の負担額に納得できなくても、実際の支払いは保険会社が行ってくれます。