バイクに乗りたいと思った高校生が、今後の人生を通じて永くバイクに乗るための最低条件を、バイク好きな大人として伝えたいと思い、この記事を書いています。
高校生にバイクは危険だとか、高校生の本分は別にあるとかを述べるつもりはありません。
バイクは素晴らしい乗り物です。今の自分にはバイクの無い生活は考えられません。
バイクに興味を持った高校生が、少しでも永くその楽しみを続けられるように願い、その為に必要なことを書いてみます。
目次
バイクに乗るなら上手に乗ろう
先ずはバイクに乗るなら上手に乗りましょう。
上手とは早く走ることではありません。実は上手に乗るとは、どれだけゆっくり走れるかなのです。
例えば自転車で考えてみましょう。自転車で出来るだけゆっくり走るとどうなるでしょう? 足を付かずに、止まってしまうくらいゆっくり走るのは結構難しいものです。
実はバイクも同じです。ゆっくり走るためには自転車と同じようなバランス感覚に加えて、ブレーキとアクセルの微妙な操作も必要となります。この「微妙な操作」が出来るとバイクが自由に操れるようになり、楽しさも安全性も一気に上がります。
自由にバイクを操れると、当然早く走るのも上手くなります。何か危険が起きた時でも、落ち着いて回避できるようになるのです。
ゆっくり安定して走れるようになるには、練習が必要です。バイクには数百円で参加できるスクールが沢山ありますから、是非参加してみて下さい。
スクールには高校生だけでなく、色々なライダーが色々なバイクで集まります。白バイの模範演技なども見れます。それらを見るだけでもかなりの楽しさです。
格安で参加できるライディングスクール
ホンダやヤマハがライディングスクールを開いていますが、それよりも警察主催のスクールを活用した方が良いでしょう。
開催頻度も多く、全国の至る所で開かれています。料金も格安です。私が行っていた講習会の参加費は200円でした。
講習会の内容はここで見られます。
多くのコースが有りますが、最初は「初級オートバイ教室」に参加すると良いでしょう。
初級オートバイ教室の体験記が公開されているので、参加することに不安を感じる方は見てみてください。レディースデイの体験記ですが、男性でも行うことは殆ど同じです。
東京地区での二輪教室に参加が難しい場合でも、こちらのページで全国の教室が検索できます。また、これ以外に各都道府県の県警が講習会を行っているケースもありますので、近くの講習を調べてみて下さい。県警に電話で聞いてみても良いでしょう。
因みに「グッドライダーミーティング(東京)」は、結構レベルが高い人が参加していて、初心者のうちは周りに圧倒されてしまいます。初級講座である程度慣れてきたら参加してみて下さい。
グッドライダーミーティングの最後には、うねうねのコースを疾走させてくれるのですが、信号も無く歩行者もいないので、峠を攻めるよりも面白いです。
この走行の際には、慣れた人と慣れていない人をチーム分けして、別々の速度で走ってくれますから、上手でなくても参加は出来ます。
最上級のクラスになると白バイが先導することが有るのですが、参加者の中には白バイを煽っているライダーもいました。
例えばグッドライダーミーティングで白バイを煽ることを目標にしてみてはどうでしょう? 白バイとのチェイスなんて公道では絶対出来ないことですし、目指すことで技量も確実に上がります。事故回避のスキルも同時に付けられます。
バイクに乗るなら「2秒後」を予想して走ろう
バイクに乗るなら危険察知能力を高めなければいけません。
この部分が高校生には最も難しく、バイクを乗るうえで最も大切な部分です。
残念ながら事故は自分だけでは防げません。無謀な運転をする大人は大勢います。
高校生には見える物が見え難い老齢のドライバーもいます。何でこんな走り方をするんだ?と思わせる車は実に多いのです。
難しいことですが2秒先に起こることを想像しながら走ることが出来ないと、事故に遭う可能性は格段に高まります。高校生の反射神経だけでは不十分なのです。
では「2秒後」が想像できるようにするためにはどうすれば良いのでしょう? 想像力を付けるためには実際の事故画像を見るのが一番です。
例えばこんな映像です。実際にどうすればこのアクシデントを防げたのか?そんな事を考えながら見て下さい。
信じられないような走り方をする大人が如何に多いことか! しかし公道ではこのようなことが実際に起こっています。まずそれを知って下さい。
実は私も時々このような映像を見ています。見ることで普段の危険察知能力が格段に上がるのです。
自分の事故に家族を巻き込まない
「事故に巻き込む」とはケガをさせるという意味ではありません。責任を負わせることです。
高校生に限らず未成年が犯した罪は保護者も責任を取らされます。
いくら「これは自分のミスで家族は関係ない」と言っても、社会では通用しません。未成年が事故を起こさないように監督するのも保護者の役目とされているからです。
事故で誰かにケガさせた場合、その治療費として相手にいくら払うかを考えたことは有るでしょうか? ここで幾つかの事例を紹介します。
泥酔した眼科医の死亡事故 5億2,843万円
ドライバーが被害者に払う賠償金額 5億2,843万円
41歳の眼科医が死亡した事故の賠償金額です。賠償金には被害者が今後稼げたはずの給料が加算されるため、医師などの高額所得者相手に事故を起こすと、賠償金額が跳ね上がります。
因みにこの事故は、被害者の医師が酔っ払って横断禁止の道路を横切り、道路の真ん中で立ち止まっていたために起こった事故です。しかし5億を超える賠償金がドライバーに課せられました。
ふざけてボンネットに乗った大学生の事故 3億9,729万円
ドライバーが被害者に払う賠償金額 3億9,729万円
21歳の大学生が被害に遭った事故です。この被害者は死亡は避けられたのですが、重い後遺障害が残りました。
本人が悪ふざけで車のボンネットに乗っていたのを、友人のドライバーが車をゆっくり走らせたことで起こった事故です。
ちょっとハンドルを切ったところ、被害者が転落し脳に重い障害が残りました。まだ若いため、今後の治療費や介護費用などが賠償金額として加算されています。加害者は友人の悪ふざけに付き合ってしまったために、多額の賠償を背負いました
このように、加害者となってしまった場合には、大きな責任を負ってしまいます。
ちなみに一般的なサラリーマンが一生涯に稼ぐ給料は、退職金を加えて2億7千万円と言われています。仮に5億の賠償金を負ったとしたら、その後の親の給与の全額と、自分が今後稼ぐ給料の全てを使っても返しきれません。
では親を巻き込まないためにはどうすれば良いか? 自分の今後の人生を棒に振らずに、バイクに乗り続けられるようにするにはどうすれば良いか?
実は任意保険に正しく入っていると、保険がこの金額の殆どを払ってくれます。
高校生が任意保険に入るには親の同意が必要です。もし親を説得するのが難しくても決して逃げないで下さい。任意保険に入るということは、自分だけではなく、親を含めた家族を守ることでもあるのです。任意保険に入らずにバイクに乗ると、自分の家族を破滅させる可能性が有ることを忘れないでください。
参考記事 : 未成年や学生でもバイク保険に入れますか?
バイクは永く乗った方が楽しい
色々と書きましたが、一番伝えたいのはこのことです。
バイクは永く乗れば乗るほど楽しくなります。
大人になってお金と時間に自由が利くようになれば、自分が好きなバイクが買えますし、好きなメットも、ウェアも買えます。
ツーリング先でおいしいものも食べられます。
サーキット用のバイクを1台買って、毎週のレースに出ることだってできます。
アメリカ大陸の東から西まで、ハーレーで走るツアーに参加する人もいます。
このような楽しみは全てバイクに永く乗っているからこそ出来るのです。
今はお金が無いかもしれません。時間が制限されるかもしれません。大人の理解が得にくいかもしれません。もしそのような状況だとしても、今だけを考えずに、「どうしたらバイクを一生の友人にできるか」を見据えて色々と知恵を絞ってください。
高校生なら、これから50年はバイクに乗れます。その将来の為に、色々と考えてみて欲しいのです。