ノンフリート等級とは、簡単に言えば保険会社から見た「ライダーの安心度ランキング」です。
安心度と言っても、運転の上手い下手ではありません。
保険金を請求してこないライダーが、一番安心なライダー、保険金を請求してくる可能性が高いのが、安心できないライダーです。
もちろん、安心できないライダーの方が保険料が高くなります。
目次
保険の基本発想は「助け合い」
そもそも保険とは「リスクを共有する」ものです。
バイクで事故を起こす方は、全体の半分もいません。
ただし事故を起こしてしまうと、個人では負いきれないくらいの賠償を背負うことになります。
自分がその「誰か」になってしまった時に、皆から助けてもらえるように、別の人がその境遇に陥ってしまった時には、皆で支える、という相互補助の精神が保険の基本的な考え方です。
しかし何度も事故を起こし、何度も皆の世話になってしまう方がいると、そこに不公平が生じます。
その不公平を是正するために「あなたは他の方に何度も助けられているのだから、保険料を多く払ってください」というのが保険会社の考え方で、これを数値化したのが等級です。
等級はどのように決まるのか?
等級にはフリート等級とノンフリート等級が有りますが、フリート等級は10台以上の車両を持つ方にしか適用されませんので、普通はノンフリート等級が用いられます。
ノンフリート等級は1~20までの20段階設定されており、数字が小さくなるほど「危険度」が高く、その他の加入者に迷惑をかけているメンバーと見なされていることになります(一部22等級に分かれている会社もあります)。
そのため保険料も高くなります。
最初に保険に加入するときは、基本的に6等級から開始となります。
加入から1年間保険料の請求を行わなかった場合には、翌年から1つ上の等級になります。
一方で保険料請求を行うと翌年から等級が下がりますが、いくつ下がるかは請求した理由により異なります。
等級と保険料の関係
等級ごとに保険料をどれ位割り引くかは、「損害保険料率算出機構」が作成している以下の表をベースとして、各々の保険会社が独自に定めています。
底辺の1等級と最上位の20等級では同じ補償内容でも料金は127%違うということです。
もし元値が5万円としたら、1等級の方の保険料は82,000円、20等級の方は31,500円です。
等級ダウンの仕組み
等級は事故を起こしても下がりません。
保険料請求を行うと翌年から下がります。
下がり方には1つ下がるケースと3つ下がるケースがありますが、バイクの場合3つ下がるケースがほとんどです。
- 等級が1つ下がるケース
本人の責任を問えない事象で、保険支払いが行われた場合です。
盗難、火災、自然災害等が該当しますが、バイクは盗難等が補償されない場合が多いので、1等級ダウンの扱いとなることは殆どありません。
- 等級が3つ下がるケース
事故により保険料を請求した場合、その殆どが3等級ダウンの事故となります。
尚、保険請求をしても等級に影響しないものがあります。ノーカウント事故と呼ばれるもので、具体的には以下の保険金のみが支払われた場合です。
・搭乗者傷害保険
・人身傷害保険
・無保険車傷害特約
・弁護士費用補償特約
・ファミリーバイク特約
例えば自損事故を起こしてしまい、自分だけがケガを負い、人の物は何も壊していない場合です。
この場合には「搭乗者傷害保険」や「人身傷害保険」だけが支払われます。そのため等級は下がりません。
等級が下がるとどうなる?
保険金請求により等級が下がると、翌年から保険料が上がりますが、それだけでは済みません。
その後1~3年間は「事故請求歴あり」として「事故あり係数」という特別な割引率が適用されます。
「事故あり係数」が適用されると、同じ等級でも保険料が高くなります。
例えば同じ10等級でも、事故あり係数が付いてしまうと、付いていない10等級の人より保険料が高くなるのです。
しかもこの措置は1~3年間続きます。
「事故あり係数」の適用方法を図で表すとこのようになります。
<<クリックで拡大します>>
出典:損害保険料率算出機構 「自動車保険参考純率改定説明資料」
もし、事故あり係数が適用されている期間中に、再度保険請求事例を作ってしまうと適用期間が累積されてしまいます。
<<クリックで拡大します>>
出典:損害保険料率算出機構 「自動車保険参考純率改定説明資料」
一度保険請求事故を起こすと、何年にもわたって高い保険料を支払うことになってしまうのです。
保険会社を変えると等級はリセットされるのか
等級は保険会社間で情報共有されているので、保険会社を変えてもリセットされることはありません。
但しバイクを降りてしまい、保険を解約した後に13か月が経過するとリセットされます。
等級は加入後の2年間が特に大事!
保険請求が必要となるような事故を起こさないことが、ご自身にとって大きなメリットになることはお分かり頂けたと思います。
このメリットを最大限得るためには、契約後の2年間がとても大切です。
以下の表は等級が1つ動くと保険料割引率が何%変わるかをまとめたものです。
契約後2年間安全運転をすると保険料がかなり変わります。
ぜひ参考としてください。
自動車保険の等級とバイク保険の等級の関係性は?
自動車保険の等級と、バイク保険の等級は別に管理されています。
そのため自動車保険の等級が良い方でも、バイク保険は6等級からスタートすることになります。
同じ考え方で、バイク保険で保険金の請求をして等級が下がっても、自動車保険の等級が下がることは有りませんし、自動車保険の等級が下がっても、バイク保険の等級には影響しません。