バイク保険の保険会社は、事故の時に何をしてくれるのでしょうか。
保険に加入しているのだから、出来る限りのことをして欲しいと思うでしょうが、保険会社にも出来ることと出来ないことがあります。
出来ることはしっかりしてもらい、出来ないことは予め把握し、いざという時に慌てないようにしたいものです。
目次
保険会社が出来ること
保険会社が出来ることは、以下のとおりです。
- 事後手続きの説明と補助
- 示談交渉
- 保険金の算定と支払い
- 被害者への対応
保険の契約手続きは事務手続きなのですが、事故後対応は人対人の話し合いとなります。
その為に決着方法も決着までに要する時間も千差万別で、同じものは2つとありません。
どのような事柄でも人が相手となりますので、保険会社と協力し、自分が当事者の意識をもって解決を図ることが重要です。
代理店契約とダイレクト型の違い
代理店契約とダイレクト型保険(インターネット契約)で最も大きく異なるのが事故直後の対応です。
優秀な代理店なら事故現場に駆けつけてくれたり、その後の手続きの説明に自宅に来てくれたり、自分の代わりに被害者のお見舞いに行ってくれたりします。
ダイレクト型の場合には、ここまでの対応は難しいと言われています。
ダイレクト型保険会社もそのことは承知しており、この違いを埋める為に、商品開発を進めている段階です。
例えばアクサダイレクトの場合には「フィールドマネジャー(面談担当者)」という、直接対応専門員などを配置して対応力向上に努めています。
1.事後手続きの説明と補助
事故対応において大変重要な部分です。
保険会社が行うこと、加入者本人が行わなければならないこと、それぞれのスケジュール、今後想定される問題など、様々な事項を明確に説明する能力が保険会社(あるいは代理店)に求められます。
まさに専門家の本領を発揮する部分です。
最低でもこれ位は明確にしてくれることを期待したい所です。
- 今後の手続きに必要となる書類とその準備期限の説明
- 事故の状況から考えられる双方の過失割合の説明(この時点では確定ではありません)
- 治療が必要である場合に、保険が支払われる範囲と支払いの時期の説明
- 相手方の保険会社や本人から直接連絡が入った場合の対応方法
- 自分や同乗者に後遺障害が残ってしまう恐れがある場合には、国から得られる障害者補助に関する説明
これだけの情報を直ぐに得られるだけでも、任意保険への加入が間違いではなかったことが実感できるはずです。
尚、口頭だけで説明を終わらせようとする担当者には警戒しましょう。必ず書面での説明を求めてください。
ダイレクトの場合には電話説明が基本ですが、依頼すれば書面を送ってくれます。
2.示談交渉
相手との示談交渉です。
保険会社は現場の状況や過去の判例から判断して、客観的に示談内容を導いてきます。
示談は当事者同士で解決させるのは大変難しく、仮に解決に至ったとしても、その後の示談金等の授受まで考えると相当の期間を要します。ですから、示談交渉は保険会社に全て任せましょう。
ただし納得出来ない部分をそのままにしてはいけません。納得できない事項は、その場で保険会社に伝えて下さい。
一旦示談の相手側に伝わった事項を、後から取り消すことは極めて困難です。
また、一度示談手続きが完了すると、その後に内容を変更することは出来ません。
3.保険金の算定と支払い
加入している保険内容、自分が負った損害、事故の過失割合等に応じて支払われる保険料の算出と、支払い手続きです。事故の相手側への支払いも含みます。
4.被害者への対応
示談交渉の一部でもあるのですが、相手方へお見舞いなどを代行してくれることがあります。
ですが一般的には、加害者本人がお見舞いを行うことで、示談がスムースに進むと言われています。
一旦保険会社への相談をしたうえで、お見舞いなどの対応は行った方が良いでしょう。
保険会社が出来ないこと
以下のような場合、保険会社は示談対応が出来ません。
1.相手側が100%悪い事故の場合
具体的には以下のようなケースです。
- 自分が停まっていた時に追突された事故
- 相手がセンターラインを越えてきたために起こった事故
- 相手が信号無視をしたことで起きた事故
このような100%相手が悪い事故の場合には、保険会社は相手との交渉が出来ません。
相手が100%悪い事故の場合には、賠償金の支払いが発生しないために、保険会社が交渉の当事者になれないためです。
当事者ではない者が示談交渉等を行うことは、弁護士法により弁護士にのみ認められた業務であるため、保険会社が行ってしまうと違法行為となってしまうのです。
このようなケースで対応できるのは弁護士となりますので、弁護士特約が付保されている場合にはその活用を検討しましょう。
賠償金が発生する場合、保険会社は賠償金を払う当事者となります。事故の当事者ではないのですが、賠償金を払う当事者として相手と直接話が出来るのです。
2.示談がまとまらず訴訟となった場合
その後の手続きは弁護士が行うこととなります。
保険会社が怠慢だったら。。。
あまり考えたくないことですが、大手保険会社もフタを開ければ一人の担当者が対応をするのですから、当然当たり外れはあります。
経験の差もあるでしょう。
満足の行く対応が得られないかもしれません。
そのような時でもその担当者の誠意や熱意を感じられれば少々は許せるものですが、単に怠慢である場合にはどうすれば良いのでしょう。
担当者の上司に訴えるというのも方法としては有りますが、保険会社の対応への苦情窓口として、日本損害保険協会が窓口を開いていますので、ご紹介します。
日本損害保険協会は保険会社のお目付け役のような立場ですので、単に訴えを聞くだけではなく、然るべき対応策を示してくれるかもしれません。
どうしても解決策が見いだせない場合には、相談してみてください。
但し、日本損害保険協会への相談を行うことで、任意保険会社の担当者との関係は緊張状態になるか、終わるかの何れかと思いますので、その点はよくご検討を。
日本損害保険協会 そんぽADRセンター