搭傷死亡等対象外特約は、搭乗者傷害保険から死亡時の補償と、後遺障害の補償を省くことで、保険料を抑えられる特約です。
私はこの特約には存在意義をあまり感じません。
理由は後程記しますが、付保を検討されている方は十分に注意してください。
この特約を使うと、保険料は安くなります。
もともと搭乗者傷害には保険料を抑える効果が有ります。
何故ならば、ケガをされた方の治療がいくら長引いても、その点は考慮せずにケガの部位と内容によって補償額を決めるためです。
保険会社からすると、搭乗者傷害保険は支払う補償額が正確に見積もれ、利益率が算定しやすい補償です。
補償算定の基準となるバイクの事故率、そのうちで頭部を損傷する率、その中で20歳未満の人が占める比率などの統計数値が、様々な機関から容易に取得できるからです。
さらに搭乗者傷害は「平均的に幾らの治療費がかかったか」を考える必要が有りません。
なぜなら、治療の額は補償額に影響しないからです。
その結果、保険会社は取りたい利益ギリギリの保険料設定が可能となり、保険料は安くなります。
このように設定された搭乗者傷害保険から、死亡保障と後遺障害補償を除くのがこの特約です。
安くなるのは当然です。
ですが、この特約を付保すると、残る補償内容は、事故によるケガに対して一定額を支払って終わり。
但し死亡したら何も払いません。
となります。
これでは被害者は救われません。
もちろん「保険料が安ければ死んだ後のことはどうでもよい。後遺症についても考えない。」というなら、この特約は最強の効果が有ります。
この特約を付けることをお考えであったり、勧められたりしている方は、十分注意してください。
尚、この特約にも1つだけ利用価値が有る付け方が有ります。
人身傷害特約と搭乗者傷害保険の両方を契約して、その上で搭傷死亡等対象外特約を付けるのです。
人身傷害は治療にかかった費用を考慮した補償が行われますし、後遺障害もカバーされます。つまり人身傷害と搭乗者傷害には重なる部分が有るのです。
詳しくは、こちらをご参照ください。
この重なる部分を省く意味で、搭傷死亡等対象外特約を付けるのであれば、意味のある特約になります。
インターネットでの保険契約は大変簡易ですが、以前は保険代理店が担っていた「専門用語を説明する」という機能が損なわれている部分が有ります。
安さと引き換えに、加入者がその部分を引き受けていることを認識しましょう。
分からない言葉は保険サイトに詳しい記載が有りますし、当サイトの「バイク保険の基礎用語」では用語の説明だけでなく、それに関連した注意事項も記載していますので、これらを活用し、誤解のない保険契約を行ってください。