【バイク保険・見直し実況解説】の3回目です。今回は車両保険を検討します。
相手への補償と自分のケガへの補償の基本ラインが決まったら、次に車両保険を検討します。
車両保険は契約者の生涯や人生設計には大きな影響を与えませんが、付保することで保険料がかなり変わりますので、検討する価値は十分にあります。
これまでにTさんが決めたこと。
相手への補償
対人賠償 無制限
対物賠償 無制限
自分への補償
必要補償 1億円
目次
車両保険の内容
ここで検討する項目
車両保険は必要かどうか
車両保険の選択に際して、最低限これだけは知っておきましょう。
物理的全損と経済的全損は違う
事故などで車が壊れて、もう乗れない状態となることを「全損」と言います。
全損には「物理的全損」と「経済的全損」が有ります。
- 物理的全損
一般的なイメージでの全損です。「事故で車がメチャメチャでもう走れない!」という状態と考えていただければ概ね正解です。
- 経済的全損
「修理は出来るけど、修理するなら買ってしまった方が安い」という状態です。そのままで車が走れるかどうかは関係が有りません。
経済的全損の金額の決め方
保険会社が言う全損とは経済的全損を指します。
では「買ってしまった方が安い」と判断する修理費用の額はどのように決まるのでしょうか。
保険会社は予め車種、年式、走行距離などから計算してその車の修理限度額を定めています。これを時価と言います。
そのため経済的全損の価格は実際の取得価格とは大きく異なります。
例えばドアを直すだけの修理でも、修理費用がその時点での車の価格(時価)を超えるなら「全損」となります。
Tさんのストリームには現在90万円の車両保険がついています。前回の保険更新時に、保険会社はこれ以上の金額を認めなかったそうです。つまりその保険会社は車の時価を90万円と算定していて、修理費用が90万円を超えれば全損とみなすのです。
車両保険には2種類ある
車両保険には主に2種類あります。
- 一般型
地震・噴火・津波が原因で起こった被害以外は全てカバーします。
- 車対車のみ補償
自損事故と当て逃げを補償外とすることで、保険料を抑えています。
保険会社により呼び方が変わります(例:エコノミー型)。
表にするとこのようになります。
*1「車対車事故・限定危険特約」を付帯した車両保険をいいます。
*2「相手自動車(契約自動車と所有者が異なる自動車に限ります。)」および「その運転者または所有者」が確認された場合に限り補償します。
*3「車両盗難対象外特約」が付帯されている場合は補償されません。
*4「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」を付帯することにより、ご契約の自動車に損害が生じ所定の状態になった場合に、一時金をお支払いします。
出典 : 損保ジャパン興和火災
尚、バイク保険の場合には「盗難は補償対象外」とされるケースが多いので、注意が必要です。
車両保険を検討するなら事故の時を想像しよう
車両保険を付保する時には一旦事故にあった気持になって検討する必要が有ります。
「事故になったら修理に保険を適用するか?」を冷静になって考えてみて下さい。
何故ならば、車両保険を適用するとカウント事故となるので、翌年からの等級が下がり保険料が上がるのです。
もしその事故が対人賠償、対物賠償等が支払われる事故であるなら、車両保険を使っても使わなくても等級は下がります。
しかし他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりしていない事故の場合には、車両保険を使わなければ等級が下がらないことがあるのです。
バイクの事故の場合には修理費用が簡単に時価を超えます。
時価を超えないような破損は、立ちごけなどの小さな破損であると考えられますが、そのような小さな破損に車両保険を適用するかどうかは思案のしどころです。
このようにある程度年数が経った車両や、等級が低い時期の車両保険は少々使いにくい面が有ります。
仮に車両に損害が生じた場合に車両保険を使うか?
この点はTさんに検討をお願いしました。
車両保険の要否の決め方
車両保険を使うと翌年の保険料が上がることを踏まえ、「実際に使うかどうか」を等級と関連付けて考える
「FPならこう見直す バイク保険と自動車保険 ④」に続きます。