交通事故の後遺障害等級制度について
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ケガなどの後遺症のうち、その後も回復の見込みがない状態となることを「後遺障害」と言います。

さらにその後遺障害が原因となり、以前のように働けないと認められる場合には、後遺障害の程度により等級が与えられます。

この等級によって、自賠責保険や任意保険の補償額、加害者への賠償金請求額まで決まってくるため、どの後遺障害等級の認定が与えられるかがその後の補償に大きく影響します。

自賠責保険の補償のうち、後遺障害部分(最高4,000万円)は等級が認定されないと支払われません。

また任意保険の後遺障害補償部分も、自賠責保険から補償が下りることが前提となっているので、後遺症が残っても等級の認定が得られない限り何ら補償が出ない可能性が有ります。

このように後遺障害等級認定は大変重要な意味を持っています。

一方で障害の程度を表す言葉が少し分かり難く、全体像が理解しずらくなっています。

そのため、この記事では少し噛み砕いて各等級の認定条件を記します。

分かり易さを優先するために、細かな基準を割愛していますので、正確さに欠ける部分が有ります。

正確な表記を確認されたい方は、以下のサイトを参照して下さい。

国土交通省 後遺障害等級表

障害を負った部位から後遺障害等級を調べたい方は「交通事故の後遺障害等級制度について(部位別)」をご参照ください。

後遺障害認定を受けるとは、それまで行った治療が終了したことを意味します(症状固定と言います)。

そのため、後遺障害認定を受けたために、治療費名目の補償が打ち切られる場合もあります

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介護を要する後遺障害の場合の等級

後遺障害のうち、特に被害がひどく介護を必要とされる場合には「要介護認定」が行われます。要介護認定には2段階あります。

 

要介護認定 第1級

労働能力喪失率100%

意識がない、自分では呼吸ができないなど介護が無いと生命が維持できない状態。

 

要介護認定 第2級

労働能力喪失率100%

意識などは有るが、食事やトイレなどが自力では出来ない状態。

 

後遺障害の等級

要介護ではないが体に何らかの障害が残り労働に支障をきたす後遺障害は、その程度を1級から14級までの14段階に振り分けたうえで認定が行われます。それぞれの条件は以下の通りです。

 

後遺障害第1級

労働能力喪失率100%

両目の失明
食べ物が噛めなく、言葉がしゃべれない。
両腕を肘関節より上の部分から失った。両腕が動かない。
両足を膝より上の部分から失った。両足が動かない。

 

後遺障害第2級

労働能力喪失率100%

片目が失明し、もう片方は眼鏡を用いても視力が0.02以下しかない。
眼鏡を用いても両眼それぞれの視力が0.02以下しかない。
両腕を肘関節より下の部分から失った。
両足を膝より下の部分から失った。。

 

後遺障害第3級

労働能力喪失率100%

片目が失明し、もう片方は眼鏡を用いても視力が0.06以下しかない。
食べ物が噛めないか言葉がしゃべれないかの何れか。
脳や神経に障害があるものの、日常生活はかろうじて自分で出来る。
肺などの呼吸器や心臓などの循環器に障害が残り、社会生活が困難な状態。
両指全てを失った。

 

後遺障害第4級

労働能力喪失率92%

両眼の視力が眼鏡を用いても0.06以下となった。
柔らかい食事しか噛めなく、発音出来ない音が有る(両方)。
両耳の聴力を失った。
片腕をひじ関節より上から失った。
片足をひざ関節より上から失った。
両手の指全部が動かなくなった。
両足の足首から先を失った。

 

後遺障害第5級

労働能力喪失率79%

片方の目が失明し、もう片方が眼鏡をかけても視力が0.1以下になった。
神経系統や精神に障害が残り、簡単な仕事しかできない。
胸腹部の臓器に障害が残り、簡単な仕事しかできない(人工肛門等で排泄のコントロールが効かないなど)。
片腕を肘から手首の間から失った。
片足を膝から足首の間から失った。
片腕が完全に動かなくなった。
片足が完全に動かなくなった。
両足の甲から先の部分、或いは指全てを失った。

 

後遺障害第6級

労働能力喪失率67%

両眼の視力が眼鏡をかけても0.1以下しかなくなった。
柔らかい食事しか噛めないか、発音出来ない音が有る(どちらか)。
両耳の聴力が耳元で大声を出さないと聞こえない程度まで悪くなった。
片耳の聴力が完全になくなり、もう片方が40㎝以上離れると普通の会話が聞き取れない程度まで悪化した。
背骨が大きく変形してしまい、運動障害が残った。
片腕の肩、肘、手首のうち2カ所が動かなくなった。
片足の股関節、膝、足首のうち2カ所が動かなくなった。
片手の指5本全部か親指を含んだ4本が無くなった。

 

後遺障害第7級

労働能力喪失率56%

片目が失明し、もう片方の視力が眼鏡をかけても0.6以下となった。
両耳の聴力が40㎝以上離れると普通の会話が聞き取れない程度まで悪化した。
片耳の聴力を全く失い、もう片耳の聴力が1m以上離れると普通の会話が聞き取れない程度まで悪化した。
神経系統や精神に障害が残り、仕事をしても手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどの問題があるために通常の作業は行うことができなくなった。
内臓の機能に障害が残り、簡単な作業以外の仕事が出来なくなった。
片手の親指とその他2本の指を失った、または親指以外の4本の指を失った。
片手の全ての指、或いは親指を含んだ4本の指が動かなくなった。
片足の足の甲から先を失った。
片腕の骨折が完治せずに骨がつながらない状態となり、運動障害が残った。
片足の骨折が完治せずに骨がつながらない状態となり、運動障害が残った。
両足の指全てが機能しない状態となった。
頭、顔、首などに大きな傷などが残った。
両側の睾丸や卵巣を失ったりその機能を無くした。

 

後遺障害第8級

労働能力喪失率45%

片目が失明か眼鏡をかけても視力が0.02以下になった。
背骨に運動障害が残った。
片手の親指を含んだ2本或いは親指以外の3本の指を失った。
片手の親指を含んだ3本の指が動かないか、親指以外の4本の指が動かなくなった。
片足が5㎝以上短くなった。
片腕の肩、肘、手首のうち1カ所が動かなくなった。
片足の股関節、膝、足首のうち1カ所が動かなくなった。
片腕の骨折が完治せずに骨がつながらない状態となった。
片足の骨折が完治せずに骨がつながらない状態となった。
片方の足の指全部を失った。

 

後遺障害第9級

労働能力喪失率35%

両眼の視力が眼鏡をかけても0.6以下になった。
片目の視力が眼鏡をかけても0.06以下になった。
両眼の視野が狭くなった。
両眼のまぶたが完全に閉じない状態となった。
鼻が無くなり嗅覚や呼吸に障害が残った。
固いものが噛めない、言葉の一部が発音出来ない(両方)。
1m以上離れると両耳を使っても普通の会話が聞き取れない。
片方の耳は耳元で大声を出さなければ聞こえない状態となり、もう片方は1m以上離れると普通の会話が聞き取れない状態となった。
片方の聴力を完全に失った。
神経系統や精神に障害を残し、一般就労はできても、問題解決が出来ない、作業効率が悪い、仕事を継続できないなどの問題が残った。
内臓に障害が残り、行える仕事が制限される。
片手の親指又は親指以外の2本の指を失った。
片手の親指を含んだ2本或いは親指以外の3本の指が無くなった。
片足の親指を含んだ2本の指が無くなった。
片足の全ての指が機能しなくなった。
頭、顔、首にはっきりとわかる傷が残った。
生殖器に著しい障害が残った。

 

後遺障害第10級

労働能力喪失率27%

片目の視力が眼鏡を用いても0.1以下になった。
正面を見た場合に物が2重に見えるようになった。
固いものが噛めない、言葉の一部が発音出来ない(どちらか)。
14本以上の歯に治療が行われた。
1m以上離れると両耳を使っても普通の会話が聞き取れない。
片方の耳の聴力が耳元で大声を出さなければ聞こえない状態となった。
片手の親指又は親指以外の2本の指が機能しなくなった。
片足が3㎝以上短くなった。
片足の親指又は親指以外の4本の指を失った。
片手の肩、肘、手首のうち1つの動かせる範囲が半分になった。
片足の股関節、膝、足首のうち1つの動かせる範囲が半分になった。

 

後遺障害第11級

労働能力喪失率20%

両眼の視力が半分以下に悪化したか、眼球を動かせる範囲が狭くなった。
両眼のまぶたが完全に開かない、完全に閉じないなど。
一眼のまぶたが失われ目を閉じれなくなった。
10本以上の歯を治療した。
両耳の聴力が1m以上の距離で小声を聞き取れない程度に悪化した。
片耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を聞き取れない程度に悪化した。
背骨の変形が残った。
片手の人差し指、中指又は薬指を失った。
片足の親指を含んだ2本以上の足の機能が失われた。
内臓の機能に障害が残り、仕事に支障が出るようになった。

 

後遺障害第12級

労働能力喪失率14%

片眼の視力が半分以下に悪化したか眼球を動かせる範囲が狭くなった。
片眼のまぶたが完全に開かない、完全に閉じないなど。
7本以上の歯を治療した。
片方の耳の外に出ている部分の半分以上を失った。
背骨以外の骨が大きく変形してしまった。
片手の肩、肘、手首のうち1つの動かせる範囲が3/4程度になった。
片足の股関節、膝、足首のうち1つの動かせる範囲が3/4程度になった。
腕や足の長い骨が変形してしまった。
片手の小指を失った。
片手の人差し指、中指又は薬指が機能しなくなった。
片足の第二の足指(人差し指)を失ったか、第二の足指を含んだ2本の指を失ったか第三~五の足指(中指~小指)を失った。
片足の親指または親指以外の4本が機能しなくなった。
局部に頑固な神経症状が残った(主にむち打ち症)。
頭にニワトリの卵大、顔に10円玉大以上や3㎝以上の傷が残った。

 

後遺障害第13級

労働能力喪失率9%

片目の視力が眼鏡をしても0.6以下になった。
正面以外を見た場合に物が2重に見えるようになった。
片目の視野が狭くなった。
両眼のまぶたの一部が無くなったか、まつげが半分以上無くなった。
5本以上の歯を治療した。
片手の小指が機能しなくなった。
片手の親指の骨の一部を失った。
片足が1㎝以上短くなった。
片足の第三~第五の足指(中指~小指)のうち1~2本を失った。
片足の第二の足指(人差し指)が機能しなくなった。
片足の第二の足指を含み2本の指が機能しなくなった。
片足の第三~第五の足指全てが機能しなくなった。
胃・胆嚢・脾臓等の切除など。

 

後遺障害第14級

労働能力喪失率5%

片目のまぶたの一部が欠損したか、まつげが半分以上失われた。
3本以上の歯を治療した。
片方の耳の聴力が1m以上離れた小声を聞き取れなくなった。
腕や手の露出面に手のひら程度の大きさの酷い傷が残った。
足の露出面に手のひら程度の大きさの酷い傷が残った。
片手の親指以外の指の骨を一部失った。
片手の親指以外の指の一番先の関節が曲がらなくなった。
片足の第三~第五の足指(中指~小指)のうち1~2本が機能しなくなった。
局部に神経症状が残った(主にむち打ち症)。

 

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後遺障害認定の問題点

後遺障害認定は被害者の障害を客観的に判断し公平な補償を行うために用いられていますが、問題点もあります。

この問題点を知っておかないと、本来得られるはずの補償が得られなかったり、補償額が少なくなることが有ります。

 

障害認定と実際の障害は必ずしも一致しない

障害認定の内容には他人の目から判断が可能なものと、そうでないものがあります。

例えば「むち打ち症」は交通事故で頻繁に残る障害ですが、本人が痛みや違和感を感じていても医学検査では何も異常が見つからない場合もあるのです。

仮に異常が認められたとしても、その痛みや違和感には個人差が生じます。

そのため、被害者が負っているキズの深刻度合いが、客観的に判断できません。

ところが、むち打ち症の等級には2段階あるのです。ここに大きな問題があります。

むち打ちの等級は12級と14級に分かれるのですが、どちらの等級になるかによって、自賠責の補償金額が変わるのです。

補償額は12級で224万円、14級では75万円です(何れも限度額)。

12級と診断されるか14級と診断されるかで、じつに3倍の差が生じるのです。

それに加え労働能力喪失率がも9%の差が生じますので、逸失利益の算出にも影響してくるのです。

 

後遺障害認定は保険手続き上の都合で行われる

「症状固定」は本来医師と患者が相談し、現状を踏まえて「あらゆる手を尽くしたけれども、これ以上は回復しない」と判断した時点で行われるべきです。

そこには患者の復帰に向けた意欲も関係するでしょう。

しかし賠償手続き上の「症状固定」は保険会社が案件を終了させる目的で行われることが多いのです。

治療が長引いた場合、その治療費や通院費を長期にわたって払い続けることを避けるために、賠償の方法を治療費の支払いから後遺障害の賠償金への支払いに切り替え、まとまった金額を一度に払うことでその後の支給を終わらせるのです。

 

後遺障害認定の問題点をどのように回避するか

これらの問題点はどうすれば回避できるのでしょうか。

残念ながら被害者と保険会社の利害は一致しません。後遺障害認定の度合いによって保険会社が支払う賠償金が決まってしまうからです。

それに加えて保険会社は日々この種の交渉を行っているのですから、素人が一朝一夕で得た知識で太刀打ちできるものではありません。

このような状況を被害者やその家族だけで乗り越えるのはかなり難しいのです。

 

ですから、これらの手続きは早い時期で専門の弁護士の協力を得るべきです。

任意保険に弁護士特約が付いているならそれを活用しましょう。

たとえ特約が付いていなくても弁護士への相談は行うべきです。

弁護士によっては、成功報酬制(得られた賠償額の一部を報酬とする)としているので、個人の負担額が軽減されることもあります。

参考記事 : 弁護士費用特約

 

尚、弁護士には「専門分野」が有ります。

交通事故障害認定の対応には、交通事故専門の弁護士を起用するようにします。

専門の弁護士に心当たりがなければ、国が設立している相談窓口「法テラス」を活用すると良いでしょう。

但し紹介された弁護士が自分にとって良い弁護士かどうか、本当に信頼できるのか、専門知識はあるのか等を判断するのはあくまでも自分であることを忘れないでください。

ご自身での情報収集も並行して行い、弁護士の意見に流されない準備をすることも大切です。

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