バイクでのもらい事故はかなり厄介だ
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もらい事故とは【自分に過失がない事故】、或いは【過失がごく僅かの事故】のことです。

バイクでもらい事故にあうと、自分の責任が問われる可能性は少ないのですが、その後の対応はかなり厄介です。

最も厄介なのは保険会社が対応できなくなってしまうことです。

これは保険会社のせいではなく、法律の制限によるものです。

 

目次

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避けられない「もらい事故」

バイクは車体が小さく目立たないため、車の死角に入り易かったり、実際よりも遠く見えたりします。

その特性が車の判断ミスを誘発してしまい、もらい事故にあう可能性も高くなります。

最もよく起こるのは信号待ちをしている時の追突ですが、それ以外にも対向車線からのはみ出しや、信号無視でぶつかられた場合などが考えられます。

このような事故にあうと、バイクはひとたまりもありません。

 

「全て相手が悪い!」は自分のプラスにならない

もらい事故にあうと、事故の損害だけでなく、その後の対応にも想像以上の労力を必要とします。

もらい事故の過失割合は相手10、自分0となることがあります。これは「全て相手が悪く、自分は全く悪くない」という意味です。

普通なら「当然!」と喜ぶべきところでしょうが、交通事故の場合には「自分の過失ゼロ」は困難の幕開けでもあるのです。

 

過失ゼロになると、事後交渉は全て自分で対応しなければならない

自分の過失割合が0となると、自分が加入している保険会社が対応できなくなります

この理由を理解するには、「事故の当事者」について考えなければなりません。

 

交通事故はたいていの場合、双方に責任が生じます。自分側にも過失(責任)が発生するのです。

そうすると保険会社は「過失に対して、賠償金を払う立場」、つまり「お金を払う当事者」として相手と交渉することになります。

つまり保険会社は「事故の当事者ではないが、賠償金を支払う当事者ではある」ということです。

それが過失ゼロとなると賠償金を払う必要が無くなり、保険会社は当事者になることが出来なくなります。

当事者でない者が示談交渉を代理で行うと、弁護士法違反として罰せられてしまうので、保険会社は相手との交渉が出来なくなります。

示談交渉を本人の代理として行えるのは弁護士に限られているため、このようなことが起こります。

 

交渉はバイクの損害とケガの補償

もらい事故で自分の過失がゼロとなると、保険会社から「相手との示談交渉はご自身で行って頂きます」と連絡が入ります

この時に自分で行わないといけない交渉には、バイクの損害額とケガの補償の2つがあります。

 

自分で行う交渉① バイク損害額の交渉

バイクは構造がむき出しの為に、軽微な追突事故などでも車体への損害が大きくなりがちです。

修理費用が購入価格を上回ることも珍しくありません。

一方で加害者から受け取れる賠償金は「時価」という考え方で算出されます。

時価とは同じ車種、同じ製造年、同じ走行距離の車体が今現在売られている価格のことです。

ですから賠償額はバイクを買った金額よりも、ほぼ確実に安くなります

買ってから走った距離や経過した時間分だけ、金額が下がるからです。

修理費用は購入価格より高くなり、もらえる金額は安くなるのですから、本人にはたまったものではありません。

ちなみに自分で加えた改造や、交換したパーツの購入に要した費用は加算してくれない可能性が高いので、損害額と賠償額の差は更に大きくなります。

この差を縮めるためには交渉するしかありません。

交渉と言っても口頭で主張するだけでは話は通りません。客観的な資料を提示する必要が有ります。

客観的な資料とは、修理費用の見積もりを取り、市場での販売価格を調べ、それを書面に纏めたものです。

この準備が出来ないと、得られる賠償額は必ず下がっていきます。

 

自分で行う交渉② 治療費や後遺障害への賠償金の交渉

自分がケガをしたり後遺症が残ったりした場合には、相手に対して賠償金を請求できますが、この金額の交渉は更に困難です。

先ずはあなたがケガをしているということを考えましょう。

病院通いをしながら交渉するというのは、どのような気分でしょう? 強い交渉が出来るでしょうか?

さらに後遺症に対して賠償金を得るには「後遺障害認定」を得なければなりませんが、この手続きにも専門的な知識が必要です。

 

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相手が保険未加入であった場合には更に深刻に

もらい事故で賠償金を得るには相当な手間がかかりそうだ、ということはお判りいただけたと思います。

これに加えて更に厄介なのは、相手が任意保険に入っていない場合です。

 

ケガの補償については、治療費120万円までは相手の自賠責保険から得られます。

後遺障害が残った場合には認定等級に応じて最高4,000万円までは得られますが、それを超える部分は本人への直接請求しなければなりません。

相手が任意保険に入っていなければ、加害者と直接交渉しなければなりません。

更に自分の過失がゼロならば、自分で交渉しなければならないのです。

つまり過失ゼロの事故に遭い、相手が無保険であると、双方に保険会社が付かないので、示談交渉は当事者同士の直接交渉となるのです。

 

これは「賠償金を加害者本人の財布から回収しなければいけない」ということです。

頑張って損害額を引き上げたとしても、相手に払う気が無かったり、収入が低い人物であれば回収は難しいでしょう。

もちろん「払ってくれ」という督促もあなたが行わねばなりません。

 

弁護士費用特約が付いていると任せられる

もらい事故は自分に責任が無いのに、困難な状況になる可能性が高い事故です。

このような事態を避けるためには、法的に代理交渉が認められている弁護士を起用するのが最も効果的です。

交通事故処理に秀でた弁護士であれば、賠償額の引き上げや適切な後遺障害認定を勝ち取ってくれるでしょう。

弁護士は単に自分の代理になれるだけでなく、相手にプレッシャーを与えることも出来ます。

自分で請求しても払ってくれなかった賠償金を、弁護士が請求したら直ぐに払ってくれたという話は実に多いのです。

 

しかし、弁護士もタダではありません。1時間当たり数万円の費用が掛かるのが一般的です。

この費用をカバーする保険特約が「弁護士費用特約」です。

弁護士費用特約は年間数千円の保険料で任意保険に付加できますので、万が一に備えて付けておくことをお勧めします。

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